母と私の日記

今年81の母と、もうすぐ50の私は二人で暮らしています。

ルナさん③

ルナさん15歳、オス。

9月28日の夜に迷子になり、

10月1日に保護された。

10月7日、ウチの子だとわかり、知らせをもらった。

それが夜勤明けの朝だったのだが、迎えに行くことにした。

 

飼い主確認の電話で、気になることを言われた。

 

お腹の横に怪我していますが、

前からですか?

 

いや、どこにも怪我なんてしていない。

 

目も耳も悪いから、どこかに引っ掛けたんだろうか。

 

動物指導センターは、自宅から車で二時間。

遠く感じた。

キョウさんと2人、

 

大雨の天気予報なのに雨が降らないね、とか

死んでると思ってたから奇跡が起きたね、とか

私の顔を見たら怒るだろうか、怒らないよ、喜んでくれるよとか

 

同じ話ばかりしていた。

動揺している。

いなくなったのも信じられなかったが

見つかったのも信じられなかった。

 

指導センターは、ちょっと山道を登った先にあった。

こんなところ?

と思ったら、

ペット霊園の文字が出てきた。

 

うわー、なんか嫌ね。。

 

その先に、動物指導センターがあった。

車を降りると、犬の鳴き声がたくさん聞こえた。これだから山の上にあるのか。

 

事務所に行くと、職員が5、6人、静かに仕事をしている。声をかけると、我々のことをみんな待っていたようだった。

小さな声で指示された若い男性が、

 

オペ室にいるそうです

 

と返事をした。

処置の最中なのか?

 

案内されると、処置台のある小さな部屋に、

沢山の犬猫がケージに入っていた。

でもみんな、静かだった。

みんな怪我や病気の子たちなのだ。

私たちを見ると、自分の飼い主じゃないのかと残念そうにしているようだった。

 

ルナさんは、処置台の足元に寝かされていた。

ぐったり寝たまま動かない。

声をかけ、頭を撫でてもぼんやりしている。

めやにが黄緑色に、目を塞いでいる。

抵抗力が落ちて、朝拭き取ってもすぐ出てくるそうだ。

キョウさんも声をかけて、体を撫でていた。

左の脇腹の毛が剃られていて、小さな穴から赤い膿が少し垂れていた。

 

膿瘤= のうりゅう といって、

傷が化膿して、皮膚の下でうみの袋ができてしまったらしい。

傷の中を生理食塩水で洗い流す処置をしてくれていた。

固形物は食べてくれなかったそうで、

毎日食べられるだけの流動食を食べさせてくれていたそうだ。

1週間世話になっていたのだが、

引き取りは一律5000円。安いと思う。

申し訳ない。ありがたい。

すぐに病院へ、と言われたが、水曜日は獣医が休みだ。明日行くことにした。

 

帰りの車で、キョウさんがルナさんの隣に座り、ずっと撫でていた。

ルナさんはキョウさんの手にあごを乗せてため息をついた。

信号で止まると、早く進めと言わんばかりに声を出したりした。

 

夜勤明けの私もだんだん疲れてきて、急に眠くなったものだから、

途中コンビニに寄った。

ルナさんは何度もぼやくように声を出していたが、許せよ。事故るわけにもいかん。

 

家に着いた。

毛布のハンモックで家の中まで運ぶと、

急に水をたくさん飲んだ。

そしてすぐに、一気に吐いてしまった。

それからは自分から飲んでくれなくなって

キョウさんは困っていたのだが、

ルナさんは少し眠った。

 

夜11時頃に遠吠えのような大声をあげた。

私がルナさんのところへ行くと、

キョウさんはルナさんの方を見ながら眠っていた。

もらった針のない注射器で犬歯の後ろから水を注ぐと、

舌を動かして飲んだ。

牛乳をあげてみたら、これも飲んだ。

 

この日はこれ以上食べずに寝てしまった。

f:id:g-indy600:20201016065028j:image