母と私の日記

今年81の母と、もうすぐ50の私は二人で暮らしています。

ルナさん④

元気な頃から、ルナさんは

私とキョウさんを警備している感じでした。

 

私とキョウさんの様子のわかるところに寝転がり、我々がいればいいのだという感じだった。

私が二階にいると、

階段を降りたところにいたり、

リビングのドアを開けたところにいたりする。

開けたらドアがぶつかるのに、

割といつもそこにいるので

私も開ける時そっと小さく開けて、覗くようになった。

 

キョウさんは一階で寝ているのだが

キョウさんが夜更かししていると一声吠えたりした。

早く寝ろと。

 

父もそんなことを言っていたなぁ。

 

ルナさんはじめ、歴代の犬たちは父に可愛がられてきた。

何十年と、家の中に犬がいるのは当たり前だった。

 

でも、家の中でぐったりしている子はいなかったなぁ。

みんな死ぬ前に脱走していた。

それも奇妙といえば奇妙。

外で飼っている子が外で死ぬことはあったけど。

 

動物指導センターから引き取った翌日、

ルナさんを獣医に連れていった。

キョウさんは用事があったので、

私の連れと2人で、毛布のハンモックのまま連れていったのだが

元気な頃なら考えられなかった。

抱っこもさせてくれない子だったので。

 

反抗できないくらい弱っていた。

連れは猫しか飼ったことがなかったが、

犬に好かれる性格らしく

顔を合わせて5分くらいお見合いしたら、

ルナさんは大丈夫と判断してくれたらしい。

連れもすごいし、ルナさんもお任せモードなんだなぁ。

 

獣医さんは前からお世話になっているところだが、

キョウさんが心配して

安楽死の方法なんかを聞いてこいと言っていた、と伝言を伝えたら、鼻で笑っていた。

あ、そこまで心配ないってこと?

でも、もう何でも食べさせてあげてって言ってた。

食べられるかな。

 

帰宅してきたが、

ルナさんはまたじっとしていた。

その夜はよく寝てくれた。

 

その状態で10月11日になった。

父の誕生日だ。

私はまた夜勤明けだったので、

昼前に戻ってきていつものように眠った。

 

夕方7時のご飯なので、

一階に行くと

ルナさんは静かに眠っていて

キョウさんと他愛のない話をしていた。

いつもの夕刻だ。

 

父の誕生日だねーなんて話して、

仏壇の下にいるルナさんを見た。

 

動いていないようだった。

 

じっと見たが、

お腹が動いていない。

近寄ってみた。

暖かい。

でも体を触っても

 

動かない。

 

「死んでる… 」

 

キョウさんも来て、からだをさわってみた。

頭や体を撫でてみた。

顔を…

 

目が開いたままだった。

 

死んでるんだ。

え、いつ??

私たちが話しているのを聴きながら

意識が遠のくように、逝ってしまったのか?

 

瞼を閉じさせてあげたかったが、

もう動かない。

 

私とキョウさんで、毛布でくるんでやった。

開いた目がなんだかかわいそうで、怖くて、

お顔も包んだ。

少し涙ぐみながら、

キョウさんと2人でお礼をたくさん言って

苦しまなかったね、良かったねと言い合った。

 

午後7時半だ。

さあどうしたらいい?